古代文化の源流を探る

『古代文化の源流を探る』

塙静夫

県内に点在する縄文、弥生時代の遺跡や出土遺物を豊富な図版で解説。「栃木県の夜明け」を膨大な『調査報告書』からまとめあげた労作。県考古学会会長をつとめる氏が考古学の初心者にもわかりやすく書きおろした書。

(A5判/232頁/定価1980円(本体1800円+税)
 ISBN 4-88748-024-5

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著者プロフィール

1932年、栃木県芳賀町生まれ。55年、宇都宮大学卒業。栃木県文化財保護審議会委員。『栃木県の考古学』(吉川弘文館)、『下野国の古代文化』(第一法規)など。

2000年度「県文化功労者」に塙静夫先生が選ばれました。


目 次

 はじめに 3

序1章 位置と地形 9

第1章 とちぎの夜明け

 第1節 赤土の中に眠る石器文化 14
  旧石器時代の自然環境 14/降り積もった火山灰─関東ローム層─ 16/旧石器時代の時期区分について 18/生町の石灰岩洞窟から出土した化石人骨 18/前期旧石器時代の七曲遺跡 19/後期旧石器時代の遺跡と石器 22/旧石器時代人の狩猟と採集の生活 32/旧石器時代から縄文時代への胎動 34

 第2節 縄文文化の誕生 35
  土器の出現と弓矢を使用した縄文時代 35/川木谷遺跡と大型の局部磨製石斧の出現 36/縄文時代草創期と大谷寺洞穴文化 39

 第3節 縄文人の定住化への道 46
  早期─大谷寺洞穴第二の盛期─ 46/縄文時代早期の遺跡と竪穴住居跡 48/草創期後半~早期初頭の落とし穴猟─登谷遺跡─ 51/大谷寺洞穴出土の屈葬人骨について 53

 第4節 縄文海進と前期のムラ 55
  縄文海進と渡良瀬遊水池付近の貝塚 55/縄文時代前期に流行した竪穴住居の拡張 59/墓域を囲む大型建物跡群─前期の根古谷台遺跡─ 62

 第5節 花開く縄文の世界 70
  縄文時代中期の遺跡と豪華な土器 70/縄文時代中期の大集落跡と住居跡 73/木の実などの食糧を貯蔵した袋状土坑群 80/中期以降に進展した縄文人の漁撈活動 84

 第6節 縄文文化の変容と終末 86
  冷涼な縄文時代後期~晩期の自然環境 86/縄文時代中期末から後期初頭に現れた柄鏡形住居跡 87/縄文時代後期の土器─磨消縄文の時代─ 94/堅果類のアク抜き処理の水場と木組み遺構 96/寺野東遺跡の環状盛土遺構 101/縄文時代晩期の住居跡と土壙群 104/南関東と東北地方の土器が錯綜した縄文時代晩期 108

 第7節 縄文人の交易と精神文化 116
  雲入遺跡の発掘と高原山産の黒曜石 116/那珂川中流域の遺跡から多く出土する硬玉製大珠 117/縄文人の高度な精神文化 120

第2章 農耕文化の展開

 第1節 弥生文化の誕生と東日本への波及 138
  弥生時代と稲作の伝来 138/弥生文化の東日本への波及 138/栃木県の弥生時代前期後半の遺跡 142/激増する栃木県の弥生時代中期の遺跡 156/弥生時代の墓制─とくに再葬墓について─ 157/考古学史に残る弥生時代中期の野沢遺跡 166

 第2節 弥生文化の定着と弥生人のムラ 169
  弥生時代中期後半の住居跡と弥生土器 169/河内郡南部の弥生時代中期末の住居跡と弥生土器 178/弥生時代中期後半のその他の遺構 183

 第3節 弥生文化の展開と終末 187
  県央以南に多い弥生時代後期の遺跡 187/宇都宮市南部の弥生時代後期のムラ 188/上三川町西部に群在する後期のムラ 193/小貝川流域に群れをなす後期のムラ 197/真岡市郊外の二、三の後期後半の遺跡 204/弥生時代の終末を語る三王山周辺の遺跡と遺物 207

第4節 弥生時代の諸問題 220