随想舎 

田中正造の関連文献

『田中正造を学ぶあなたに』(田中正造大学出版部)から田中正造、足尾鉱毒事件に関する関連文献を紹介


 田中正造と足尾鉱毒事件に関連した書籍・論文等はあまりにもその数が多く、また入手困難なものも多い。ここでは主として、学習に際して基本的な内容のもので、かつ比較的入手可能なものを中心に紹介する。
[定価が記入されていないものは在庫切れ]

田中正造全集編纂会編『田中正造全集』

 全19巻・別巻1 岩波書店 1977~80
 正造の日記・書簡・演説などを網羅した全集で、研究にとっては欠かせない基礎的な資料集。版元に在庫がないため、図書館を利用するか、古本屋で探すしかない。各巻付録の「月報」も興味深い。

東海林吉郎・菅井益郎『通史 足尾鉱毒事件』

 新曜社 1984 2,100円
 タイトルのとおり、足尾鉱毒事件を過去の終わった出来事とせず、現在まだ未解決のものとしてその全貌を明らかにする。また、渡良瀬川研究会における研究の深化と運動の継承を目指すなかから、正造の思想を解明している。鉱毒事件の全体と正造思想を解く好著。

由井正臣『田中正造』

 岩波書店 1984 1,600円
正造の生涯をたどるなかから、その思想の現代性を探求した書。正造の闘いを支える思想が、現代社会の問題に対してもきわめて有効性を持つことがわかる。学習会のテキストなどにも活用されたい。(残念ながら現在品切れで、増刷は未定)

小松裕『田中正造──二一世紀への思想人』

 筑摩書房 1995年 2,625円
 正造の生涯の記述というよりも、それぞれの闘いのテーマにおける思想性を検証していくなかから、総体としての正造思想を浮かびあがらせている。歴史を継承するという立場から、正造思想を21世紀へ語り継ぐメッセージといえる。

布川了=文・神山勝三=写真『田中正造と足尾鉱毒事件を歩く』

 随想舎 1994 1,575円
 足尾から渡良瀬川流域、旧谷中村など正造と鉱毒事件に関わる75カ所の紹介。写真、地図、交通など必要な情報が掲載されているので、フィールドワークに最適。正造の日記、書簡、短歌を織り込み、正造の声に直接ふれるガイドブック。

渡良瀬川研究会編『田中正造と足尾鉱毒事件研究』

 1~6号、伝統と現代社 7~11号、論創社
 1978~94 1,200~1,800円
 渡良瀬川研究会の会誌。「直訴の真相」や「虚説からの脱却」など、正造研究に欠かせない重要論文を多数収録するとともに、正造の思想と運動の継承を掲げた活動の記録でもある。

【研究書】

荒畑寒村『谷中村滅亡史』岩波文庫 1999 515円

木下尚江『田中正造之生涯』文化資料調査会復刻 1966

島田宗三『田中正造翁余録』上・下 三一書房 1972

東海林吉郎『歴史よ人民のために歩め──田中正造の思想と行動(株)』太平出版社 1977

東海林吉郎『共同体原理と国家構想──田中正造の思想と行動II』太平出版社 1977

東海林吉郎・布川了編『足尾鉱毒亡国の惨状』伝統と現代社 1977

林竹二『田中正造の生涯』講談社現代新書 1976

森長英三郎『足尾鉱毒事件』上・下 日本評論社 1982

花崎皋平『解放の哲学をめざして』有斐閣新書 1986

ケネス・ストロング『田中正造伝──嵐に立ち向かう雄牛』晶文社 1987

朝日新聞宇都宮支局編『新・田中正造伝』随想舎 1992 1,890円

立松和平『渡良瀬有情』東京新聞社 1992 2,039円

佐江衆一『田中正造』岩波ジュニア新書 1993 750円

広瀬武『渡良瀬川の水運』随想舎新書 1995 1,050円

布川了『田中正造 たたかいの臨終』随想舎新書 1996 1,050円

村上安正=文・神山勝三=写真『銅山の町 足尾を歩く』随想舎 1998 1,575円

【文芸書】

大鹿卓『渡良瀬川』『谷中村事件』新泉社 1972

城山三郎『辛酸』角川文庫 1979 399円

立松和平『毒──風聞田中正造』東京書籍 1997 1,680円

立松和平『恩寵の谷』新潮社 1997 2,625円