はじめに
私たちの周りに広報紙(誌)はたくさんある。市町村をはじめ、学校、団体、企業、サークルとさまざまなところで広報紙は作られている。それでは広報紙の定義とはいったいなんであろうか。平易に言えば「広く人々に知らせ、その理解と協力を求める紙をベースにした情宣手段」といえるだろう。しかし、広報紙は発行者の単なる伝達手段ではない。発行者と読者、そして編集者が共同して作り上げ、発行していく性格のものだ。広報紙は、新聞でも、雑誌でもない。多くの場合が特定の地域、団体内の人々を読者対象として発行されている。いわば、地域内、団体内のコミュニケーションを図る手段のひとつといっていいだろう。企業、団体などが不特定多数を対象に発行する場合もあるが、それは広報紙というより宣伝紙、PR紙の性格が強い。この場合の発行は自己宣伝を目的としている。
先に広報紙は、発行者と読者、そして編集者三者の共同作業であると書いた。学校のPTA新聞を例にとれば分かりやすい。発行者は学校のPTAであり、読者はその学校に子どもを通わせる父兄である。それでは編集者はというと、広報委員会となるだろう。発行の目的はというと学校・PTA行事の告知であり、報告である。また、総会や会議などで決まった事項を伝達することや、父兄からの要望や子どもたちの声を広く知ってもらうことも目的のひとつと言える。学校と父兄、そして地域を結ぶ使命をPTA新聞は担っているといえよう。もちろん無料で、例外を除けば広告もない。発行するための経費は、毎年徴収される会費から予算化されている。発行者であるPTA役員や、編集者である広報委員会は毎年改選され、一読者(父兄)と柔軟に入れ替わる。ひとつの事柄に関係する人々が互いに協力して作り、発行していくのが広報紙本来の姿ではないだろうか。
学校などで広報委員会のなり手がいなくて困るという話をよく聞く。確かに広報紙作りは大変な作業であるが、出来たときの充実感は大きい。広報紙作りが大変だと思うのは、その仕組み、方法を知らないからに他ならない。ぜひ、これを機会に広報紙作りを楽しんでほしい。