随想舎 
下野の水路

鬼怒川水系をゆく

竹末広美

母なる川は人びとに多くの恵みを与えてきた。
しかし、ひとたび怒ると流域に大きな被害を及ぼした。
鬼怒川・大谷川を軸に、川と人が織りなす歴史のドラマを探る。

第9回 随想舎歴文研出版奨励賞

 鬼怒川は、ふだんは穏やかな緩流であるが、いったん出水すれば洪水を引き起こし、流域に大きな被害を及ぼした。人々は、そのたびに堤防の修復や川底の浚渫など治水対策に力を注ぎ、荒れた田畑を復興した。同じく支流の大谷川でもしばしば洪水が発生し、流域に多大な被害を与え、幕府はその復興と治水に莫大な費用を投じなければならなかった
 一方、人びとは、川からさまざまな形で恩恵を受けてきた。豊な水は、飲料水や農業用水・水車用水となり、水運は物資輸送の有効な手段となった。何綱もの筏が川を下り、廻米はじめ諸物資が船で運ばれた。そのため流域には土場が設けられ、各地に河岸が発達した。
 本書は、五十里洪水の顛末をたどるとともに、鬼怒川水系の治水と利水の実態を把握し、「川と人びとのくらし」を明らかにするものである。(「はじめに」より)

四六判/並製/167頁/ [定価]2200円(本体2000円+税)
ISBN 978-4-88748-392-7 c0021
2021年6月16日 第1刷発行

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【目次】

第一章 五十里洪水

第二章 治水と用水

第三章 筏流しと舟運

第四章 川のめぐみ