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日下開山 初代横綱 明石志賀之助
すもうの街宇都宮が生んだ大力士
中村 弘
明石志賀之助は「幻の力士」か!?
今まで埋もれていた「上山三家見聞日記」を拠り所に、既存の文献・資料を検証するなかで、実在した人物としての巨像が姿を現してきた。宇都宮の生んだ初代横綱の謎に迫る。
「初代横綱」といわれる明石志賀之助は、通説では「謎が多く幻の力士」とか「架空の力士」「複数の力士では」と、その存在すら危ぶまれるほどであった。著者は郷土の偉人へのこうした無理解を憂い、文献や史料にあたり明石志賀之助の調査研究を始めた。そして出会ったのが山形県上山市に伝わる『上山三家見聞日記』であり、そこには志賀之助の存在を決定づけることが記述されていた。それから著者の猛勉強が始まった。そして乏しい史料の中から導きだしたのが、実在する明石志賀之助だった。
著者はまた、相撲を愛する人でもあり、宇都宮で「歴史文化を伝承する市民の会」の活動を積極的に担い、毎年春、蒲生神社境内で奉納相撲を実施し、少年たちの相撲大会を開催するなど、「すもうの街・宇都宮」実現に向けて活躍中である。
本書は、そうした相撲好きの執念が実をむすんだ一冊と言える。
A5判/上製/248頁/定価1760円(本体1600円+税)
ISBN 978-4-88748-256-2
2012年10月29日発行
著者プロフィール中村 弘 なかむら ひろし
経歴
栃木県宇都宮市生まれ
日本大学工学部建築学科卒
日本大学工学部建築学科元非常勤講師(建築設計講座)
現在 株式会社中村建築設計監理事務所・代表取締役・一級建築士
宇都宮市泉が丘在住
歴史関連所属
下野史談会・下野民俗研究会・歴史文化を伝承する市民の会
目 次
序章 「日下開山初代横綱力士明石志賀之助伝」
第一章 相撲史と明石志賀之助
一、相撲の歴史
相撲の起源/神事相撲と相撲天覧/相撲節会/武家相撲/勧進相撲
二、織田信長は相撲好き
三、長善寺の顕彰碑
四、兵法家・頼祐法師
五、元禄の俳諧人・宝井其角
六、善照寺で引退相撲
七、江戸時代の記録
八、物語『明石志賀之助』
九、明石志賀之助の複数存在説
十、四股名
第二章 明石志賀之助を巡る虚実
一、伝承文の解説
コラム 相撲界の綱への関わり
二、上覧相撲と天覧相撲
三、『宇都宮市史』の検証
四、新事実の発見か
第三章 明石志賀之助は出羽上山にいた
一、出羽上山に明石志賀之助を発見
二、明石志賀之助とその時代
徳川幕府と出羽上山藩政/武将荒木村重の三女荒木局/中村文左衛門尚春の日記/土岐山城守は相撲好き/土岐山城守と御上の御祭典/荒木家の人々/岩佐又兵衛勝以
三、明石の証
四、出羽上山調査を振り返る
五、歴史散歩
川越と世良田行/姫路と出雲行/山形・宇都宮・白河行
【年表】上山における明石志賀之助とその時代
第四章 明石志賀之助が生きた時代
一、明石志賀之助の謎を追う
明石志賀之助の生年は/「山内」姓について/明石志賀之助の年齢/『角力鬼拳』/錦絵の体格と手形/兵法家・頼祐と明石志賀之助/「架空」から「実在」へ
コラム 宮っ子のうわさ話
二、今までの調査研究で思うこと
文献に描かれた明石志賀之助/『古今相撲大全』
三、明石志賀之助は「寛文の力士」
『画證録』相撲人古図/明石志賀之助相撲之図/家紋について/新しい発見か
四、相撲寺に手がかり
五、鮮明になってきた人物像
六、古記録にみる明石志賀之助
【年表】宇都宮における明石志賀之助とその時代
第五章 すもうの街・宇都宮
一、相撲と宇都宮の関わり
宇都宮に関わる相撲の歴史/蒲生神社と相撲の縁/相撲と「歴史文化を伝承する市民の会」
コラム 布引の儀
二、栃木県立文書館閲覧記
宇都宮藩主の藩政録/江戸期の勧進相撲
三、本願寺に明石志賀之助の墓が
本願寺を訪ねて/明石志賀之助と式守助重の墓碑
コラム 百目鬼伝説
四、宝蔵寺の伝承
五、明石志賀之助の碑と野口勝一
六、二代横綱綾川五郎次
七、三代横綱丸山権太左衛門
八、十二代横綱陣幕久五郎
九、二十七代横綱栃木山守也
「相撲人國記」の栃木山/星の宮神社調査行
十、その他の下野ゆかりの相撲人
名行司二十代木村庄之助/阿久津川高一郎/阿久津辰吉/高浪福司/岩木山孫平/宇都宮出身の力士/江戸時代に活躍した下野の力士/明治以降に活躍した下野の力士
コラム 旅館「明石荘」のこと
コラム 子供の頃の相撲
【図版】初代横綱明石志賀之助からの時代の流れ
第六章 文献・史料・資料集
一、明石志賀之助の手形
二、山形県上山市関係資料
『上山三家見聞日記』
三、日本相撲協会関係資料
歴代横綱一覧表
明石志賀之助の関連史
相撲史年表