随想舎 

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改訂新版

足利の歴史

前澤 輝政

 ふるさとを愛し、文化財保護を高く掲げて歩んできた著者が、長い思索を経て、三たび世におくる郷土の歴史と文化の書。

 「足利は“歴史のまち”を標榜しながらも実態は、次々と貴重な歴史遺産が破壊され、湮滅化をつよめている。千古以来、営々と生き、時代を重ねてきた大いなる足利の先祖、先人を憶うとき、せめてその真実の一端でも明らかにできたなら、と報恩・感謝の念で、版を重ねてきた次第である。足利の豊かな自然と文化遺産=足利の歴史は、まさに足利を愛するものには心の故郷である。足利を大事に思い、ご精読いただければ幸いである」〈著者〉

A5判/並製/320頁/定価2090円(本体1900円+税)
ISBN 978-4-88748-192-3

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著者プロフィール

前澤 輝政  (まえざわ てるまさ)

 大正14年(1925)足利市に生まれる。第二早稲田高等学院文科(旧制)を経て、早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒業、同大学院文学研究科(美術史)修了。考古学・古代史を滝口宏先生に師事。

 栃木県文化財調査委員(のち文化財保護審議会委員〈会長〉)、足利市文化財専門委員(長)、栃木県市町村文化財保護委員会協議会会長などを歴任。
 足利の自然と文化財を守る会代表。

 早稲田大学、聖心女子大学、東京医科大学各講師、宇都宮短期大学、いわき明星大学各教授を歴任。文学博士。

〔主な著書〕『御厨高松遺跡の研究』(明善堂書店)、『足利智光寺址の研究』(綜芸舎)、『下野の古代史』(上下・有峰書店)、『下野の古墳』(栃の葉書房)、『山王寺大桝塚古墳』(早大出版部)、『毛野国の研究』(現代思潮社)、『新編足利の歴史』(国書刊行会)、『東国の古墳』(そしえて)、『日本古代国家成立の研究』(国書刊行会)、『概説東国の古墳』(三一書房)、『栃木の文化財』(随想舎)、『足利学校?その起源と変遷』(毎日新聞社)、『近藤徳太郎?織物教育の先覚者』(中央公論事業出版)など

目 次

第一章 足利のあけぼの

人類の発生/日本の旧石器時代人/足利の位置/縄文時代のはじまり/縄文時代の生活/縄文時代の土器と住居/平石遺跡/高松遺跡の発掘調査/縄文早期の竪穴住居址/平地住居址/縄文土器の出土/石器の出土/土偶の意味/人骨片の出土/抜歯の風習/中の目遺跡の配石遺構/亀ケ岡式土器/巨大な石棒/足利の縄文遺跡

第二章 稲作のはじまり

弥生時代/日本民族の文化の祖型/足利の弥生遺跡/和泉遺跡と助戸遺跡/弥生文化の伝播/足利の弥生式土器/足利の稲作は弥生中期から/再葬墓/弥生の中期・後期文化/足利の農村/方形周溝墓/環濠集落と祭祀/邪馬台国と女王卑弥呼

第三章 毛野国と足利(古墳文化)

古墳の創出/初期大和政権/古墳とは/前期古墳/毛野国の前期古墳/足利の前期古墳/県 主/中期古墳文化/鹿我別王と足利/毛野国の分割/梁田屯倉/後期古墳文化/足利の古墳群/円 墳/記念すべき足利公園古墳/横穴式石室/六~七世紀の足利の勢力分布/古墳時代の生活

第四章 大化改新と足利

儒・仏教の伝来/大化の新政/天平文化/出 挙/国分寺の造営/郡 司/足利郡と梁田郡/国府野と十念寺/梁田郡と渡良瀬川/梁田郡の中心地/八綱田王と梁田/余戸郷/條里制/足利の條里遺跡/瓦窯址/駅馬と伝馬/東山道/足利は下野国の玄関口

第五章 傑僧行基の足跡

喪葬令と仏教思想の普及/奈良の学僧たち/行基が足利にはいる/行道山/行基分身入定の地/浄因禅寺/行基平と徳正寺/最勝寺/毘沙門堂/武将らの帰依/三多聞天の一つ/大岩山十二坊/毘沙門天のあくたれまつり/大岩山の行基堂址

第六章 足利学校の起源と変遷

国府野と学校地先/勧 農/国学の府/学校起源の諸説/国学と足利学校/上杉憲実と学校再興/応仁元年の学校移建/フランシスコ・ザビエルの通信文/学校衰微の時期/足利学校址/聖 廟/国宝の蔵書など/釈奠の儀/当時の総合大学/学校の修復料

第七章 密教の普及と鶏足寺

仏教の腐敗/山岳宗教の興隆/定恵と円仁/荘園と?馬の党/将門の乱と藤原秀郷/世尊寺(鶏足寺)/慈 猛/鶏足寺の文化財/経 塚

第八章 源氏と八幡宮

武士団の発生/前九年・後三年の役/八幡神信仰/大将陣/源氏屋敷/八幡山(神宮寺山)の南麓/交通の要地/義家別業の地/円満寺不動堂/義国(宝憧寺殿)/義康(鑁歳寺殿)/義 兼/八幡宮と神宮寺/現在の八幡宮

第九章 足利義兼と鑁阿寺、法界寺(址)

足利藤原氏/梁田御厨/源平の死闘/鎌倉幕府/将軍頼朝と義兼は同族/足利源氏居館址/中世の平城址/義兼の出家/義氏と一山十二坊/鑁阿寺/太鼓橋と仁王門/大御堂/鐘楼と多宝塔/四脚門と石塔/鑁阿寺の主な文化財/いちょうの巨木/法界寺(址)/樺崎八幡宮/末世の世/浄土信仰/法界寺の造立/鶴池と亀池/法界寺の地割/鑁阿上人の生入定/大日如来像と五輪塔群/坂本家の墓地/義兼公の墓石

第十章 鎌倉仏教と足利の寺々

鎌倉時代の経済/足利の織物/佐野の鋳物/法楽寺/足利義氏/阿弥陀が池/浄土庭園/曹洞禅寺/戸田家の菩提所/義氏公の墓石/智光寺址/智光寺庭園/足利泰氏/智光寺瓦/泰氏の子孫/頼氏の吉祥寺/浄土信仰の波及/内乱の時代/浄土宗/浄土真宗/時 宗/禅宗(臨済宗と曹洞宗)/日蓮宗/足利の仏寺/智光まんだら/隠 者

第十一章 足利高氏(尊氏)のこと

建武の新政/鎌倉幕府の滅亡/打倒北条の執念/足利幕府を開く/足利高氏(尊氏)の生涯/足利高氏(尊氏)の評価/足利高氏(尊氏)と足利庄/南宗継と名草

第十二章 乱世と足利庄

室町(足利)幕府と足利義満/永享の乱/古河公方/室町幕府の財政政策/土一揆/応仁の大乱/足利庄の管理争い/足利にも土一挨が?/足利の天災と社会不安/梁田氏と足利成氏/長尾景人勧農城に入る/景人、足利学校を移す/戦国大名/景長、両崖山城を築く/長林禅寺/憲長・政長と上杉謙信/足利の領民の窮乏/本町から町並み発展/小俣籠城/足利佐野合戦/顕長の苦悩/足利長尾の滅亡

第十三章 江戸時代の足利

徳川家康の全国統一/町人の進出/足利の検地/領主の変遷/生類憐みの令/正徳の治と享保の改革/意次のわいろ政治と寛政の改革/化政時代と天保の改革/江戸時代の農民/凶作と飢饉/足利の凶害/江戸時代の諸都市/戸田氏の城下町/足利の町並みの変遷/江戸時代の城下町/江戸時代の足利の性格

第十四章 足利の織物史

古代の織物/中世の織物/近世の織物/外国船の絵馬/絹織物/買継商がうまれる/織物市場を設ける/綿織物/賃 機/足利の農民の暮らし/足利織物の成立要因/織元の製造工程

第十五章 幕末と足利

激動の時代/安政の大獄/尊王攘夷/大政奉還/足利における草莽の志士/木村半兵衛/鈴木千里とその家族/天狗党の乱/幕末足利藩の人物/田崎草雲/南画について/草雲の画風/勤王の志士草雲と誠心隊/王政復古のクーデター/錦の御旗/上信越に向かう幕軍/例幣使街道と梁田宿/梁田宿の戦い/梁田戦争の痕跡