随想舎 

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渡良瀬一〇〇年

自然・歴史・文化を歩く

読売新聞社宇都宮支局[編]

 足尾鉱毒事件により谷中村が廃村となって100年。公害、開発、自然保護、治水対策、さまざまな問題を抱えながら、きょうも広大なヨシ原を風が渡る。2年に及ぶ精力的な新聞連載で、渡良瀬遊水地の「いま」を歩く。養老孟司氏の特別寄稿を掲載。

A5判/並製/192頁/定価1980円(本体1800円+税)
ISBN 978-4-88748-168-8

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目 次

特別寄稿 はじめての渡良瀬 養老孟司
まえがき 読売新聞東京本社地方部長 中川俊哉
渡良瀬遊水地略図・渡良瀬川流域略図
カラーグラビア 息づく大地、燃える生命

第一部 遊水地はいま

自然や歴史ここに 将来は野外博物館に
生態系支える炎 炎のドラマのヨシ焼き
 ・広くまぶしい緑
 ・総延長一〇六キロ 空の旅
新種発見 相次ぐ ワタラセツリフネソウや昆虫も
地中に眠る鉱毒 継続調査の必要性も
「乾燥化」検証必要 単調化しつつある生態系
掘削計画に賛否 遊水地の第二調節池
後絶たぬ不法投棄 テレビや冷蔵庫などの粗大ゴミも
正造の願い語り継ぐ 防ぎたい歴史の風化
 ・絶滅危惧植物、二種確認

第二部 翻弄された人々

県北に息づく「谷中」 移住の苦労続く
 ・旧谷中村民二五〇〇人立ち退き
北の大地から帰郷 今も残る「栃木」の地名
古河で歴史語り継ぐ 正造のイベント、映画など企画
公害 知られざる原点 今でも戻らぬ緑の山
足尾に再び誇りを 世界遺産登録の運動始まる
「正造伝説」今も 一〇〇たっても地域に息づく
「水没の悲劇」今も 思川上流で「地域」が消える
 ・版画で省みる足尾鉱毒

第三部 民俗の宝庫

細る伝統漁、次代へ 竹製の網を使ったザンブリ漁
 ・遊水地愛した生涯 「生き字引」染宮さん
増え続ける外来魚 ブラックバス、ブルーギルなど
 ・「日光浴」でリフレッシュ
遊水地を食べる 今も残る伝統料理
養蚕が残した文化 国内有数の蚕種の産地
消えゆく菅笠の伝統 男はホネタテ、女は笠縫い
 ・ヨシ刈り開始
産業遺産 保存へ一歩 重要文化財「ホフマン式輪窯」
地域の宝 再認識を ラムサール条約の登録湿地を目指す
 ・丸木夫妻の「足尾鉱毒の図」を一般公開

第四部 野鳥を友に

栃木も見つめる 遊水地に五〇年通う 一色安義
 ・二三〇種飛来する宝庫
週末は遊水地 バンディングに取り組む 吉田邦雄
不思議探りたい 鳥とカエルを愛する 岩渕真由美
魅力を形に バードカービングも楽しむ 内田孝男
鋭い顔に驚き 野鳥が好きな絵本作家 大島英太郎
美求め一〇万枚 遊水地の野鳥を撮り続ける 日向野哲夫
ツバメ大群に感動 野鳥のガイドとして活躍する 川田裕美
遊水地の宝 間近に デジスコで野鳥を追う 塚田啓一
狩人の威厳 魅力 猛禽類専門に写真を撮り続ける 萩原幸夫
湿地性の楽園に 観察データにこだわり続ける 平野敏明
地元の熟考願う ラムサール条約登録運動を進める 高松健比古
 ・渡良瀬遊水地のラムサール登録を

第五部 遊ぶ・学ぶ

四季通じ全国から 風を探して空を舞う熱気球
興奮と解放感 スカイダイビングで空中散歩
水の自由満喫 川と湖を楽しむカヌー
希少種も確認 虫とのふれあい、昆虫観察
季節の変化 肌で サイクリングで疾走感楽しむ
毎回 新たな発見 ジョギング、ウオーキング
被写体の宝庫 写真撮影で遊水地通い
思わぬ遭遇楽しむ 渡良瀬川流域を歴史散策
 ・楽しみ様々 年一〇〇万人へ
 ・葉が白くなるハンゲショウ

第六部 未来へのメッセージ

正造の功績 世界に 記録映画の上映続ける 池田博穂
歴史学べる記念館を 熊本大文学部教授 小松裕
足尾 再評価も必要 祖父の写真集を発刊した 小野崎敏
生態系の保全急務 東大大学院教授 鷲谷いづみ
有機農法で資源循環 渡良瀬エコビレッジ理事長 町田武士
宇井純の教え実践 那須の自然に学ぶ会代表 早乙女順子
足尾に公害博物館を 植林活動を続ける作家 立松和平
 ・田中正造の足跡、一堂に

識者座談会 遊水地と足尾銅山を語る
遊水地と足尾、地域の宝
広大な自然、子孫に・旧村民子孫ら「谷中」語る

特別付録・環境ルネサンス 渡良瀬一世紀
「つめ跡」覆う豊かな湿地 関東平野の原風景
暗い過去でも伝えたい 旧足尾町で進む歴史の見直し
足尾発、四〇〇年後の森作り 心に木を植える
自然資産、新たな出発 アウトドア愛好家も注目

渡良瀬遊水地・足尾銅山略年表
渡良瀬一〇〇年・主要参考文献
あとがき 読売新聞社宇都宮支局長 栗田倫孝