随想舎 

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勤労青少年教育の終焉

学校教育と社会教育の狭間で

板橋文夫・板橋孝幸

 実業補習学校・青年学校・定時制通信制高等学校を軸に、明治以降の勤労青少年教育の歴史的変遷を多角的に検証。学校教育が地域でどのように受け入れられ定着していったのか、どのような学習が行われたのか、第二次大戦以前の農村地域では、小学校の教員や町村当局が、それら諸学校にどうかかわったのかを検討した。巻末に詳細な勤労青少年教育関連年表を付した。

A5判/上製/312頁/定価2860円(本体2600円+税)
ISBN 978-4-88748-160-2

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著者プロフィール

板橋 文夫(いたばし ふみお)

1950年 栃木県生まれ
早稲田大学大学院文学研究科教育学専攻修了(社会教育)
東邦大学、東京学芸大学講師

板橋 孝幸(いたばし たかゆき)

1975年 埼玉県生まれ
東北大学大学院教育学研究科博士課程(日本教育史)
福島大学准教授、日本大学講師

目 次

第一部[戦前] 中等教育的機関における勤労青少年教育

序章  勤労青少年教育史研究の課題と意義

  一、問題意識と目的
  二、本書の構成及び課題

第一章 実業補習学校の地方定着過程とその変容

 第一節 実業補習学校の成立と地方定着過程
  一、成立の背景
  二、地方定着過程
    埼玉県における定着過程
    群馬県における定着過程
    栃木県における定着過程
    茨城県における定着過程

 第二節 実業補習学校の普及
  一、普及の背景
  二、地方普及過程
    埼玉県における普及過程
    群馬県における普及過程
    栃木県における普及過程
    茨城県における普及過程

 第三節 青年訓練所との二重構造と公民学校への変容
  一、実業補習学校と青年訓練所における二重構造の背景
  二、実業補習学校から公民学校への変容過程
    埼玉県における変容過程
    群馬県における変容過程
    栃木県における変容過程
    茨城県における変容過程

 第四節 小 括

第二章 青年学校の地方定着と義務化

 第一節 青年学校の成立と地方定着過程
  一、青年訓練所と、青年学校成立の背景
  二、地方定着過程
    埼玉県における青年訓練所
    栃木県における青年訓練所

 第二節 青年学校の義務化と敗戦
  一、義務化の背景と義務制青年学校
  二、地方青年学校の実態
    埼玉県における青年学校
    栃木県における青年学校
  三、終戦前後の青年学校

 第三節 小 括

第三章 行政村の勤労青少年教育に関する一考察

 第一節 農村小学校教員による勤労青少年教育構想

 第二節 郷土教育実践の経緯と「村是」の策定
  一、勤労青少年に対する郷土教育実践の経緯
  二、実践と「村是」の概要

 第三節 「部落分住」と勤労青少年教育
  一、教員住宅建設における勤労青少年教育の向上
  二、農業補習学校・青年訓練所・青年学校における教育

 第四節 小 括

第四章 「全村学校」導入による村内教育体制の確立過程に関する一考察

 第一節 農村小学校教員による村内教育体制の構築

 第二節 村内各学校における郷土教育
  一、小学校児童に対する郷土教育実践
  二、農業補習学校・青年訓練所生徒に対する郷土教育実践

 第三節 学校教育と社会教育を連続させる「全村学校」の実施
  一、成人層に対する郷土教育実践
  二、村内教育体制確立の意義

 第四節 小 括

第二部[戦後] 後期中等教育機関における勤労青少年教育

第五章 定時制・通信制高校の成立と変容


 第一節 定時制・通信制高校の発足
  一、創設時の諸問題
    定時制高校
    通信制高校
  二、定時制・通信制教育振興法の成立

 第二節 定時制・通信制高校の再編と低迷
  一、学習指導要領の改訂と中教審答申
    一九四七(昭和二二)年高等学校学習指導要領
    一九五一(昭和二六)年改訂高等学校学習指導要領
    一九五五(昭和三〇)年改訂高等学校学習指導要領
    一九七〇(昭和四五)年改訂高等学校学習指導要領
  二、定時制・通信制高校の変遷

 第三節 定時制・通信制高校の変容
  一、学習指導要領の改訂と多様化の徹底
    一九七八(昭和五三)年改訂高等学校学習指導要領
    一九八九(平成元)年改訂高等学校学習指導要領
    一九九九(平成一一)年改訂高等学校学習指導要領
  二、定時制・通信制高校の変容と勤労青少年教育の終焉
    一九七〇年代後半の定時制・通信制高等学校
    単位制高校と新しい定時制高校
    勤労青少年教育の終焉と新しいタイプの定時制高校

 第四節 小 括

第六章 定時制・通信制高校準義務化の歴史的意義とその限界


 第一節 定時制・通信制高校教育の理念

 第二節 定時制・通信制高校準義務化構想の背景
  一、第一次米国教育使節団報告書
  二、日本側教育(家)委員会の報告書
  三、教育刷新委員会建議
  四、文部省「新学校制度実施の準備案内」
  五、文部省「新制高等学校実施の手引」
  六、新制中学校・新制高等学校「望ましい運営の指針」

 第三節 定時制・通信制高校準義務化変容への道
  一、政令改正諮問委員会による「教育制度の改革に関する答申」
  二、産業教育振興法
  三、定通振興法と青年学級振興法

 第四節 小 括

第七章 定時制高校成立過程に関する一考察
 ―埼玉県立不動岡高校定時制課程を中心として


 第一節 定時制分校の発展を妨げる基底的要因

 第二節 文部省通牒の県への下達と県立定時制高校の創設

 第三節 不動岡中心校と各分校の創設経緯
  一、中心校への定時制課程の加設経緯
  二、菖蒲分校の創設経緯(現菖蒲町)
  三、羽生分校の創設経緯(現羽生市)
  四、北川辺分校の創設経緯(現北川辺町)
  五、騎西分校の創設経緯(現騎西町)
  六、分校設置拒否町村の拒否理由

 第四節 小 括

終章  勤労青少年教育の成立と終焉


  一、徒弟学校と簡易農学校
  二、本書の成果と今後の課題

 勤労青少年教育関連年表