那須の文化誌
自然・歴史・民俗を読む
那須文化研究会[編]
那須の風土が育んだ悠久の歴史と自然の妙を綴る。古代から近世、近代に至る壮大な歩みをわかりやすく紹介した那須学の入門書。34人の研究者たちが渾身の研究成果をもとに綴った新たなる那須文化の集大成。自然、歴史、民俗の3分野で構成。
A5判/並製/280頁/定価2200円(本体2000円+税)
ISBN 4-88748-148-9
編者紹介
那須文化研究会 なすぶんかけんきゅうかい
昭和62年(1987)、那須地区の自然や歴史に興味を持つ有志が集い、「那須文化研究会」が誕生。那須という地域を舞台として、幾度となく踏査を繰り返しながら自然と向き合い、また、先人が残した文献や遺物を掘り起こしては現代の視点で再度スポットを当ててみる、そうした会員の地道な活動の成果を『那須文化研究』という書物の中に蓄えてきた。
目 次
◎自然
那須野が原と周辺の自然 私たちを支えてくれる風土の魅力
ゼフィルスの多い那須野が原 空飛ぶ森の宝石
山地のチョウ類 ブナ林や渓谷,草原を彩る
オサムシ 地をはう森林の王者
鳥類 那須野が原は野鳥の宝庫
アユの川・那珂川 アユやサケを育む清流
水生カメムシ類 水に潜んだヘッピリムシ
ミヤコタナゴ 天然記念物のこれまで・これから
塩原地域の木の葉化石 30万年前の生きものたち
沼ッ原湿原の植物 湿原を彩る草花たち
アブ類 なぜメスだけが吸血するのか?
コラム 変わり行く那須野が原の自然
◎歴史
●原始・古代
那須の原始・古代 関東と東北の接点に生まれた独特な歴史と文化
先人たちの足跡を探る 那須野が原中央部の縄文早・前期の遺跡
那須の縄文土器 関東と東北の狭間で
平林真子遺跡 石が敷き詰められた縄文時代の住居
縄落遺跡 その変容と遺物収集
那須野が原の古墳 扇状地に残された権力者の墓
薄葉大塚古墳 箒川左岸の最奥に位置する古墳
那須町堂平仏堂跡 平安時代村落内寺院の一形態
コラム 那須国造碑と侍塚古墳
●中世
那須の中世 他地域・中央との関係の中で
鎌倉時代の那須一族 源平争乱における活動と幕府御家人化への道
亀谷禅尼と那須上荘横岡郷 鎌倉時代における武家女性
那須氏と那須衆との関係 室町・戦国時代の那須地域
那須の戦国と大関高増 戦国武将の聖と俗
東国版関ヶ原合戦の展開 天下分け目の関ヶ原合戦と那須衆
芦野氏 その「祖」に関して
コラム 「黒衣の宰相」満済が記録した「黒羽城」
●近世
那須の近世 乱世の終焉と地方文化の展開
大関氏と丹比神社 出自の定説化と祭祀
奥州道中の変遷と芦野宿の形成 中世城館の意味するもの
那珂川の舟運と河岸経営 黒羽・矢倉河岸を中心に
何陋館・練武園と「再建何陋館記」 国元(黒羽)での教育と江戸での学習
三田称平(地山)の師友たち 漢学や国学や絵画などに勤しんだ人々
小泉斐 近江日野とのかかわり,鉄斎への影響
高久靄がい 郷土黒磯が生んだ偉大なる南画家
安積艮斎の黒羽訪問 「黒羽八幡邱」の世界
水戸藩儒たちの塩原温泉紀行 翠軒・幽谷・南梁の漢詩群
白湯山信仰と黒滝山信仰 近世黒磯北部の山岳信仰
大名家文書の虫干し 黒羽藩主大関家による史料保存
縁談取組み証文 幕府領村と大田原藩領村の場合
コラム 黒羽の大関家と将軍家・他大名家
●近代
那須の近代 山間地と台地の様相
大関増勤の米国留学 黒羽藩最後の藩主の語学留学
明治天皇御巡幸と那須地域 明治九年・十四年の巡幸
三島農場と三島開墾紀恩碑 那須野が原開拓の最初の民間農場
蟇沼用水の付替えと分水の開削 疏水碑と蟇沼堰分水碑
那須開墾社と明治開拓村 那須野村三区の様相
那須野が原の道路開削 陸羽街道と塩原街道
那須人車軌道と塩原電車 西那須野駅からの東と西の路線
東野鉄道 那須野が原に夢をたくした汽車ポッポ
清国の駐日外交官黎庶昌・陶大均と塩原 塩原は尤も秀特なり
塩原と明治の文豪たち 誌上文学散歩
塩原温泉への学童疎開 東京都国民学校児童の14か月
戦後開拓と那須 豊穣を求めて
コラム 那須野が原開拓の農場主たち
◎民俗
里山の生活誌 那須野に見る民俗文化の一面
餅なし正月 里山の年中行事
たばこづくりの一年 炎天下の中での葉たばこ取り
蚕の来た道 西那須野地区の養蚕とその変遷
炭焼き 那須地方の薪炭生産
アユ・サケの教え 那珂川の漁撈文化
里山に響く生活の歌 北那須の民謡
温泉神社に見る祈りの姿 那須地方における温泉神社の分布
御亭山に住む姫 綾織が池の伝説
変幻九尾の狐 殺生石物語
コラム 関谷城鍬舞復活