田中正造と天皇直訴事件
布川了
天皇直訴は「義人正造」の個人プレーではない。半山・秋水・沼南・被害民の力と鉱毒世論をバックに、明治国家体制を震撼させる大事件だった。百年後の今、その全貌を解き明かす。
四六判/176頁/定価1650円(本体1500円+税)
ISBN 4-88748-063-6
著者プロフィール
布川了
1925年、群馬県邑楽町に生まれる。早稲田大学卒。田中正造研究の草分けともいうべき渡良瀬川研究会を73年に結成、代表幹事として運動を推進する。著書『足尾銅山鉱毒史』など。
目 次
一、正造・直訴の朝
はやく、まんまにしてくれ 7
直訴場所 10
宗吾生代り、死代り 12
直訴時刻 14
二、直 訴
開院式 16
直訴決行 17
「狂人」にあらず 24
麹町警察署 27
鉱毒事務所 31
尚江と半山・秋水 32
天皇・政府の対応 35
三、直訴の夜
田中正造の場合 40
幸徳秋水の場合 42
四、検察の動向
一二日の動き 46
「臣民の請願権」両論 48
直訴を処分する法なし 53
五、訴状の始末
なぜ「謹奏」か 59
直訴状異聞 59
なぜ秋水に頼んだのか 61
秋水が正造利用説 62
直訴状は二通 64
六、直訴の反響
勅令四五号 72
直訴の波及 74
七、直訴誤伝
逆 潮 79
義人祠 80
義人像 82
尚江誤伝 83
八、直訴の真実をもとめて
東海林吉郎と半山日記 89
東海林説への批判・否定 92
直訴をめぐる正造の風土 93
直訴と半山・三郎(沼南) 95
天皇睦仁と鉱毒・正造 100
「天皇観の昂進」考 107
九、直訴企図
直訴へむかう 119
石川半山の密謀 121
半山策動 124
苦悩する正造 128
公判闘争と半山効果 131
直訴文をめぐる藤 137
カツ子へ、定助へ 141
直訴状受取り 142
直訴前夜 146
一〇、直訴のあと
半山失望 150
正造直訴評論 156
直訴の波紋 160
直訴事件当日前後動向表 168
あとがき 172