立松和平 疾走する文学精神
黒古一夫
拡がる異郷と歴史の闇を旅する作家・立松和平の初期作品群から、「恩寵の谷」「毒-風聞田中正造」まで、混迷する現代社会と鋭く対峙する立松文学を徹底分析。1991年刊「立松和平 疾走する境界」の増補版。
四六判/260頁/定価2200円(本体2000円+税)
ISBN 4-88748-002-4
目 次
1章 〈境界〉に誘われて
-『遠雷』5部作の意味
(1)〈境界〉の生と共同体の解体-『遠雷』
(2)漂流する家族-『春雷』 26
(3)解体から滅亡へ-『性的黙示録』
(4)テクノロジーの嘲弄と砂漠化する都市
-『雷獣』『百雷』
2章 青春の出発と蹉趺
-旅・革命・恋愛・青春の挽歌
(1)彷徨する精神
-『途方にくれて』『ブリキの北回帰線』他
(2)「革命」と「恋」
-『光匂い満ちてよ』『蜜月』他
(3)愚行の時
-『自転車』『背中からきた息』他
3章 〈日常〉の陥穽に抗して
-「生活」のフラグメント
4章 始源への遡行
-歴史と生の根源へ
(1)〈歴史〉に自己を重ねて
-『歓喜の市』『ふたつの太陽』
(2)回想の「自己」
-『原っぱ』『幼年記』他
(3)〈性〉の乱舞
-『快楽の一滴』他
5章 都市生活の「神話」
-現在を生きる
6章 〈周縁〉に向かって
-行動する作家
(1)〈根の国〉沖縄
-『太陽の王』『うんたまぎるー』他
(2)疾走する精神
7章 〈原点〉への遡向・「足尾」から始まる
-『恩寵の谷』と『毒-風聞田中正造』をめぐって
増補版へのあとがき