随想舎 

扶桑遊記

著者・王韜   訳者・丸山雅美

 130年前の日光が、鮮やかに甦る。
 明治初期の日本を旅した中国知識人の見聞録を現代日本語に翻訳した労作。

 日本では王韜の『普法戦紀』が漢学者・儒学者はもちろん軍関係者にも多く読まれ、これが縁で日本の名士たちの招請により明治12(1879)年に来日した。彼は長崎・神戸・大坂・京都・横濱・東京そして日光を訪問し、これらの風景や当時の風俗・習慣も書き記し、漢詩を通じて心情も吐露している。王韜が日光へ旅行したことは日本滞在のクライマックスで、彼が日光での避暑や雄大な風景を堪能していた姿が目に浮かんでくる。時代を超えても、まさに彼の息吹が伝わってくるようだ。

A5判/並製/232頁/定価1980円(本体1800円+税)
ISBN 978-4-88748-282-1
2014年2月20日 第1刷発行

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著者プロフィール

著者・王韜
(Wang Tao・おうとう)
(1828~1897)

 太平天国に上書したのが発覚し、香港に亡命し、中国古典の英訳の助手に携わる。スコットランドにも招請され、赴任途中経由地を歴訪し見聞を広める。香港に帰還後『法国志略』『普法戦記』などを執筆。『普法戦記』は内外に大きな反響をもたらす。1874年中国語新聞『循環日報』を設立。新聞を通して中国の変法を訴える。その他『?園文録外編』『淞濱瑣話』『漫遊隨録図記』など執筆多数。

訳者・丸山雅美
(まるやままさみ)
(1965~ )

 帝京大学文学部史学科、中国・四川大学歴史系、佛教大学大学院文学研究科修士課程を卒業。埋蔵文化財の調査、中学校や高校で社会科教員、ホテルマン、日本語教師、翻訳業などの仕事を経て、現在中国・福州外語外貿学院(大学)で日本語を教授。古代から現代までの中国史を幅広く研究。

目 次

上 巻

  自序

  本文(閏三月初七日~四月初六日)

  跋

中 巻

  序

  本文(四月初七日~五月十六日)

  跋

下 巻

  序

  本文(五月十七日~七月十五日)

  跋