随想舎 

山と人を想い

空 昌昭

 いつもやさしく迎えてくれる山があり、そして仲間がいた。
 秘境ラダックへの旅、鳥海山の自然への想い、英彦山と九州の山々、登山の腕をみがいた剣岳など、半世紀を超す山への情熱と心温まる友情の記録。
 英彦山修験者を祖に持つ著者の、山と人を通した自叙伝であり、秀逸なエッセイでもある。


 A5判/上製/272頁/定価1760円(本体1600円+税)
ISBN 978-4-88748-236-4
2011年4月23日 第1刷発行

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著者プロフィール

空 昌昭  そら よしあき

 福岡県出身。英彦山修験道山伏を祖にもち昭和11年に生まれる。
 子供のころから山に親しみ、本格的登山は高校時代より。九州の山々、九重山、阿蘇、由布岳の西口ルート開拓をはじめ、中国、四国の山々、上越の山、東北の山、南アルプス、北アルプスなどに足跡を印す。特に、剣岳に精通し、現地では登山者の世話をしている。
 瑞穂山岳会(京浜地区、京葉地区、栃木地区)代表。日本山岳会会員、日本ヒマラヤ協会理事などを務める。現在フリーで活動中。東京、千葉、栃木などで定期的に山岳写真展を開催。

 《海外遠征》
 昭和46年、日本ヒマラヤ協会のカシミールヒマラヤ登山隊隊長。
 昭和49年、小チベット・ラダック調査隊隊長。小チベット・ラダックは地球上に残された唯一の秘境、戦後世界初68年ぶりの入域を果たし、現地の貴重な調査報告を国内外に発表し注目を集める。

 《著書》
 『秘境小チベット・ラダック』沖允人氏と共著(日本ヒマラヤ山岳協会発行)、『キリストは日本にいた』F・M・ハスナイン博士と共著(インドカシミール)、その他カシミールの山の報告、チベット・ラダックについて研究誌などに発表。

目 次

 序 文  沖 允人
 『山と人を想い』発刊に寄せて  小島守夫

第一部 秘境小チベット・ラダック

 1 人生を変えたラダック訪問
 2 秘境ラダックを訪ねて
 3 ラダックの人の印象
 4 再びゾジ・ラ峠を越える

第二部 鳥海山の池田昭二・拓父子の思い出

 1 短かかった池田拓の人生
 2 乱開発に立ち向かった池田昭二
 3 鳥海山の自然を守る
 4 イヌワシになった青年

第三部 古里の山を想いて

 1 私の由布山
 2 英彦山は私の山の出発点
 3 筑豊周辺の山々
 4 九州の山の先輩たち
 5 筑豊の野武士たち

第四部 遥かなる山々

 1 四国の山旅(1)─石鎚山と人の思い出
 2 四国の山旅(2)─母の古里を訪ねて
 3 アイガー北壁に散った「爺さん」
 4 私の皇海山より
 5 山と人とを想いて
 6 剣沢の教訓

第五部 山で体験した奇妙な出来事

 1 女峰山野外研修─勇気ある撤退
 2 阿蘇の岩場の思い出
 3 富士山遭難報告─冗談が本当になってしまった話
 4 由布岳池代ルートでの出来事
 5 耶馬渓─ある街道筋の旅籠で
 6 ある山小屋の怪談話
 追 記