随想舎 

とつぜん雉子が

金敷 善由

 詩を書くとは、ぼくはこう想う。髪の毛を恋人同士できつく共同体として編み上げて行くように、他人にも横一線に刻印しておく為に詩という表現を、壊滅させてはならないのだと思えるのだ。詩は単に形を書くだけではなく喩えば自分の中のトラウマを素直に秘策することからはじまると言ってもいいのではないのかと思うのだ。自分のなかの欠陥に盲目になるのではなく、詩はその避け難い原質を超えて、熱い思いを暴け出す仕事なのでもある。(「あとがきに代えて」より)

A5判/上製/86頁/定価2970円(本体2700円+税)
ISBN 978-4-88748-223-4
2010年9月27日発行

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著者プロフィール

金敷 善由  (かなしき よしゆき)

1930年、栃木県生まれ
主なる著書
評論集『鯨の背中』(雁塔舎)2000年
詩集『包帯男』(書肆青樹社)2002年
詩集『せり上がる崖』(雁塔舎)2003年
詩集『花一枚一枚』(土曜美術出版社販売)2005年
詩集『薔薇の定義』(雁塔舎)2008年
(所属団体)日本現代詩人会、日本詩人クラブ、栃木県現代詩人会
(現在)『日本未来派』同人、『烈風圏』同人

目 次

とつぜん雉子が
四月のさくら
浮き名のおんな
この世とは、宇宙の戯れから出来たもの
石南諸共(はなもろとも)
シルエット
命のしじまから
空華
野性の馬

ナイフ
冗談にしては悪い夢
蓮の根
日々の白骨となり
冬の虫
地球の歯車が
海の高鳴り
生きるということは
白蛇
揉み上げの長い男に
あとがきに代えて