随想舎 

とちぎ綾織り

下野の歴史と伝説を訪ねて

水樹 涼子

 懐かしい土の香り、そして人の温もり……。交錯する「時と場所」を縦糸・横糸に、自らの思いを斜めに織り込む斬新な試み。
 日光、下野薬師寺、録事尊など歴史の舞台を訪ね歩き、筆をとったエッセイ集。東京新聞栃木県版長期連載に、新たに書き下ろしも合わせ四六編を一冊にまとめた。

四六判/並製/200頁/定価1650円(本体1500円+税)
ISBN 978-4-88748-186-2

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著者プロフィール

水樹 涼子  (みずき りょうこ)

1961年 栃木県鹿沼市(旧粟野町)に生まれる。
東京女子大学文理学部日本文学科卒業
1998年 県芸術祭創作部門文芸賞受賞
2006年 県文化協会文化奨励賞受賞
現在、創作講座講師。講演、朗読活動も行う。
栃木県下野市在住

[主な著作]
「聖なる衝動-小説・日光開山 勝道上人」、小説集「花巡り」、長編SF「月王伝
説上・下」、児童書「雪王の元へ」他、音楽劇台本、コラム、エッセイ集など。

目 次

大谷にて  神に出会う異界の入り口
国分寺炎上 一 壮麗な大伽藍 突然の崩落
国分寺炎上 二 仏教に「理想」と「救い」求め
東山道 蝦夷征伐 兵たちの思い
紫式部伝説 人を結びつける「想い」
大神神社 月の美しい夜の思い人の歌
那須温泉神社 雪の日、厳粛さと日本的情趣
健武山神社 都でも有名な下野の黄金
録事尊伝説 永遠の課題 医の進歩と犠牲
続・録事尊伝説 人の命の犠牲と昇華
思川--上流篇 残る伝説に思い馳せ
思川--下流篇 情念を浄化する流れ
室の八嶋 「立つ煙」の謎を解く
孝謙の森 悲劇の女帝、安らぎの地
下野薬師寺 一 高僧鑑真伝える逸話
下野薬師寺 二 東国唯一の受戒の場
下野薬師寺 三 失われた「戒」を思う
下野薬師寺 四 別院に横たわる「道鏡塚」
下野薬師寺 五 医療・仏道の「献身」とは
姿 川 水面に映るいにしえの人の「思い」
聖地・日光 一 開山挑戦三度目の謎
聖地・日光 二 命を賭した平和への祈り
聖地・日光 三 紫雲上る地 開山の礎に
聖地・日光 四 仰ぎ見るだけの山
聖地・日光 五 「天下人」の深い思想
続・東山道 一 中央政府と東北結ぶ線
続・東山道 二 白河関見続けた古木
白沢宿 一 大名行列も逗留 四〇〇年の歴史
白沢宿 二 鬼怒の渡しが繁栄もたらす
逆井戸伝説 一 道鏡の不思議な伝説
逆井戸伝説 二 人生の教訓伝える
宇津史料館 殿様も愛用の魔法の小箱
ホタルの里 失われてゆく風物詩
慈眼寺 一 天気を操る神通力
慈眼寺 二 お経とジャズ 絶妙の調和
小山城址 一 自然の要塞に神仏勧請
小山城址 二 壮絶な悲劇の行方
小山城址 三 同じ業の武士と桜
小山城址 四 悲劇の兄弟 謡曲に
小山城址 五 小山評定と開運の地
仏生寺 勝道上人誕生の地
下野国庁跡 将門も駆け抜けた下野国府
みかも山 東歌と古代の瓦製造地帯
続・みかも山 上杉謙信、思案の地
古峰ヶ原 美しい紅葉と修験道
出流山 勝道出生秘話と観音様