随想舎 

足尾万華鏡

銅山町を彩った暮らしと文化

三浦 佐久子

 1991年、足尾銅山閉山後のドキュメント『壺中の天地を求めて』で地方出版文化功労賞を受賞した著者が、その後も足尾に魅せられ書き綴った記録。交通・住宅・食文化から、祭礼・芸能・植林事業にいたる、銅山町を彩った暮らしと文化を掘り起こす。

四六判/280頁/定価1980円(本体1800円+税)
ISBN 4-88748-111-X

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著者プロフィール

三浦 佐久子  みうら さくこ

 栃木県大田原市生まれ。東洋大学短期大学国文科卒業。
 東洋大学勤務を経て、文筆活動に入る。伊藤桂一、宇野千代、尾崎秀樹に師事。短編小説『破れた靴』が新潮新人賞候補に。平成三年足尾銅山閉山後のドキュメント『壺中の天地を求めて』で地方出版文化功労賞受賞。日本文芸家協会会員。日本ペンクラブ会員。大衆文学研究会幹事。金属鉱山研究会会員。足尾を語る会代表。文京学院大生涯学習センター講師。

[著 書]
ドキュメント『壺中の天地を求めて』(下野新聞社刊)、『危うし日本列島(共著・叢文社刊)、短編集『遅すぎた結婚』(檸檬社刊)、『おたふく曼陀羅』(叢文社刊)、『歴史と文学の回廊』(共著・ぎょうせい)、『犬に日本語が理解できるか』(共著・光文社)など多数。

目 次

 はじめに―ハゲ山という負への挑戦

 幻、鉱山の町の旅籠のこと
 ―足尾千軒といわれた頃の足尾の宿

 鉱山のマーケット「三養会」のこと
 ―足尾の小売店のルーツは行商から

 未完成の魅力
 ―珪肺で逝った名もなき足尾焼の始祖

 銅の道を歩く
 ―利根川めざし馬で運ばれた足尾の銅

 足尾銅山のフランス料理
 ―明治に花開いた鉱山町の食文化

 銅山町の交通・運搬今昔
 ―鉄索夫三十年、稲妻の光が鉄索を走る

 江戸の長屋・鉱山の長屋人情こぼれ話
 ―足尾銅山の社宅・坑夫長屋のこと

 足尾をめぐる峠・峠
 ―峠を越えて自然いっぱいの谷底の町へ

 銅山の祭礼イベント・山神祭のこと
 ―銅山の神聖な娯楽文化

 鉱毒地の詩
 ―明治の婦人記者・松本英子の悲涙
 足尾銅山の花街のこと
 ―寿家見番の雪松という女
 足尾の水源林を蘇生させた男

 ―煙害被害地の植林作業は続く
 チョン髷と水の思想
 ―古河市兵衛と田中正造

 川だって生きている
 ―故郷の川「箒川」の思い出

 江南の水のほとり
 ―中国を訪ねて渡良瀬川を想う

 イギリス産業革命の片鱗を覗く
 ―ヨークシャー地方の炭鉱跡へ

 [付録1]掛水クラブ園遊会レポート
 ふらんす風“足尾料理”の集い
 [付録2]座談会
 銅山の町、足尾の芸能・娯楽文化を語る

 あとがき
 主な参考・引用文献