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郷愁の野州鉄道

郷愁の野州鉄道

栃木県鉄道秘話

大町雅美

 明治18年(1885)7月16日、上野・宇都宮間に日本鉄道奥州線(現東北本線)は開通した。午前8時40分上野駅を出発した一番列車は参議伊藤博文、東京府知事、井上鉄道局長らを乗せ、午後1時38分宇都宮駅に到着。ここから栃木県鉄道の歴史が始まった。
 鉄道敷設に関わる秘話を、政治と民衆史の視点からまとめあげた会心の鉄道史。東北本線など幹線にとどまらず人車、軌道、未完の計画線にも幅広くスポットをあて、県内鉄道の全貌を明らかにする。懐かしい写真、地図をはじめ時刻表、切符など資料多数。
A5判/320頁/定価3080円(本体2800円+税)
 ISBN 4-88748-103-9



著者プロフィール

大町雅美 おおまちまさみ

1927年、宇都宮生まれ。
1950年、東京高等師範学校(現・筑波大学)西洋史科卒業。
栃木高校をふりだしに、教職に就き、宇都宮商業高校定時制、宇都宮女子高校教諭、壬生高校教頭、栃木県立図書館副館長、鹿沼高校校長、宇都宮東高校校長を歴任。その後作新学院大学経営学部教授に就き退官。現在に至る。
この間、栃木県文化功労者の表彰を受ける。

◎主要編著書
『戊辰戦争』(雄山閣)
『草莽の系譜』(三一書房)
『維新変革期における在村的諸潮流』(共著 三一書房)
『幕末の農民一揆』(共著 雄山閣)
『栃木県の歴史』(共著 山川出版社)
『新井章吾』(下野新聞社)
『栃木県の百年』(山川出版社)
『自由民権運動と地方政治』(随想舎)
『栃木県鉄道史話』(落合書店)


目 次


  はじめに 12
  栃木県鉄道路線図 14


1 開港と鉄道の夜明け

鉄道と轍道 18
鉄道の第一歩 20
  開港と蒸気機関車 20
  鉄道建設への道 21
  情報源としての新聞 23
官設鉄道の動き 25
  新橋・横浜間の開通 25
  関西鉄道の着手 28
  北海道開拓と幌内鉄道 32

鉄道敷設決定の理由 23
軌間三フィート六インチ 26
鉄道事故第一号 28
明治天皇療養費を下賜 28
逢坂山隧道 30
旧長浜駅舎跡 30
北海道鉄道記念館 33
開拓時代の機関車 33
「義経号」と黒磯駅 33
栃木県鉄道史略年表1 36


2 北へ進む日本鉄道

日本鉄道会社の設立 38
工事の第一歩 39
  第一区線の開通 39
第二区線 42
  鉄道と県内の反応 42
  分岐点をめぐって 46
  第二区線の工事(大宮・宇都宮) 47
  大宮・宇都宮開通 49
  宇都宮・白河開通 51
路線の変更 57
  宇都宮・矢板 57
  黒磯・白河 59
駅の開設をめぐって 62
  宇都宮駅開設の苦渋 62
  駅の増設 63

鉄道と風評 42
日本鉄道会社 42
東北本線の呼称 46
利根川橋梁と天覧 50
那須野ガ原の買収難 52
ドイツのレール 54
屋敷の中を汽車が走る 54
駅名の変更 56
黒田原に温泉 56
箒川列車転覆事故 56
小岩井農場の誕生 57
氏家駅の位置をめぐって 60
姉妹機関車が栃木県へ 60
田川橋新架費 63
「自治医大駅」命名の由来 65
栃木県鉄道史略年表2 66


3 横に伸びる路線

地域と鉄路 68
マンテイスターを目指して 69
  両毛地域鉄道の開設 69
  両毛鉄道の発足 71
  両毛鉄道の開通 73
  両毛鉄道の苦渋 76
水戸線 78
  水運から陸運へ 78
  水戸線の開通 80
観光を目指す日光線 81
  外国人と日光 81
  日光鉄道の敷設計画 84
  日光線の開通 86

土地収用法第一号 88


4 八溝地方をめぐる鉄道

自然と鉄道 90
明治二七年の鉄道計画 91
常野鉄道 91
常毛鉄道 93
常毛岩鉄道 94
八溝地域に新たな夢 95
  夢の再現、東野鉄道 95
  鬼怒川水運と常総鉄道 97
苦難路線の真岡線 98
  真館線の開通 98
  七井延長 100
延長路線はいずれに 102
  茂木か烏山か 103
  茂木への路線 104
  茂木鉄道の開通と政治 106
夢はどこまでも ― 茨城諸都市へ 110
  横断線の可能性 110
  幻と化した長倉線 113
県都宇都宮と結ぶ動き 117
  横断鉄道の夢、河芳鉄道 117
  水戸、土浦との路線 119
  郡北部の市宝線 122

常野鉄道の評判 93
川島駅から下館駅へ 96
人力車夫の嘆息 102
友常穀三郎の政治行動 107
真岡(モオカ)と真岡(マオカ) 108
競って土地の寄進 120


5 産業が結ぶ馬車、人車鉄道

馬車、人車鉄道の性格 126
安蘇馬車鉄道のあけぼの 127
  葛生鉄道 127
  安蘇馬車鉄道の成立 129
安蘇馬車鉄道 133
  馬車鉄道の株主 133
  安蘇馬車鉄道の営業 134
  馬車鉄道と浅野セメント会社 138
  馬車輸送の危機 141
佐野鉄道の変遷 142
  馬車鉄道から佐野鉄道へ 142
  葛生石灰の危機 148
  佐野鉄道とその終焉 148
  東武鉄道葛生・日光線計画 152
岩舟人車鉄道 155
  鉄道会社の設立過程 155
  運営と苦渋 156
  岩舟人車の窮乏と末路 158
鍋山人車鉄道 160
  鍋山石灰と人車 160
  経営の苦悩 163
  営業の増収と奇禍 164
  人車軌道の路線変更 168
乙女人車鉄道 169
  河岸と人車鉄道 169
  人車鉄道から砂利鉄道へ 170
赤見軽便鉄道 173
  赤見軽便鉄道計画 173
  軽便鉄道営業と限界 174

安蘇馬車鉄道の鉄軌 137
蒸気機関車の行方 154
三好軌道 175
栃木県鉄道史略年表3 176


6 大谷石輸送と軌道

大谷石と宇都宮 178
宇都宮軌道運輸 180
  大谷石の輸送と軌道 180
  宇都宮軌道会社の発足 182
  軌道路線の拡大 185
野州人車鉄道 189
  新里石と人車 189
  野州人車鉄道の限界 192
宇都宮軌道運輸会社の経営拡大 193
  宇都宮石材軌道 193
  人車と乗合馬車 195
石材専用軽便鉄道 196
  石材輸送をめぐる対立 196
  鉄道敷設の結果 199
  計画倒れの大谷石材鉄道 200
昭和期の鉄道変遷 202
  東武鉄道大谷線 202
  宇都宮市内軌道の変遷 204

開業当初の人車 184
自動トロ 206


7 河川とかかわる鉄道

河川と鉄道 208
烏山線(烏宝線) 209
  鬼怒川洪水と烏山路線 209
  烏宝軽便鉄道の計画 210
  烏宝線、暗礁へ 211
  烏宝線設置の具体化 212
  烏宝線の開通とその後 213
  宇都宮・烏山間直通 216
宇都宮陸軍航空廠線(清原軍用線) 218
  陸軍宇都宮飛行場 218
  水路部宇都宮陸軍飛行場 219
  陸軍航空廠宇都宮支廠 220
  宇都宮陸軍航空廠線(軍用鉄道) 222
喜連川人車鉄道 227
  鉄道路線の変更と喜連川町 227
  工事をめぐる紛争 228
  喜連川人車鉄道の開通 230
  人車鉄道の危機 232

熟田駅名の改称 214
荒川橋梁トラス桁架設 214
鉄道と政友会 216
栃木県鉄道史略年表4 236


8 東武鉄道の進出

東武鉄道と栃木県 238
東武日光線の模索 238
  伊勢崎線と佐野線 239
  佐野線と日光線 240
  東武日光線最終路線決まる 241
  用地買収、開通の過程 242
東武宇都宮線の開通 245
  刑務所跡の行え 245
  開通前一年の動き 249
下野軌道から下野電気鉄道へ 253
  鉄道路線のあけぼの 253
  下野軌道株式会社へ発展 254
  矢板線開通と経営転換 260
  下電の東武系列化 261
日光電気軌道 264
  日光と足尾銅山 264
  電気軌道の開通 266
日光登山鉄道 267
  観光開発計画 267
  鋼索鉄道の開通 269
〈付記〉足尾鉄道―足尾線―わたらせ渓谷鉄道 271
  日光から桐生 271
  足尾線の開通 272

百間村と杉戸駅(現東武動物公園駅) 242
0起点標244 東武線唯一のトンネル 244
開通に絡む諸施設 253
旅客運賃 253
東武鉄道鬼怒川線大谷川橋梁の沿革 258
日光ケーブルカー 270
明智平ロープウェー 270


9 地図上から消えた鉄路

郷愁を誘う鉄路跡 276
那須人車軌道 277
  那須人車軌道の設立 277
  那須人車と軌道の動向 279
  動力変更と社名変更 280
  那須人車軌道の末路 282
塩原軌道 284
  塩原軌道の構想 284
  動力変更と社名変更 287
  軌道敷設をめぐる紛擾 288
  塩原軌道の開通 289
塩原軌道の転換期 292
  機関車から電車 292
  経営の危機 295
東野鉄道 296
  那須野が原を東へ 296
  西那須野・黒羽間の開通 299
  第二期線と野州電気鉄道 302
  東野鉄道の延長 303
  夢、後退、廃止 305

東毛自動車会社 284
開設当時の那須駅 286
営業開始日について 300
野州電気鉄道 303
東野鉄道と映画ロケ 304
那須小川駅の跡地 309

イギリスでの鉄道余話 310

  あとがき  314
  参考文献  318